登録者数100万人を超えた旅行系YouTubeチャンネル「Maibaru Travel」。あの落ち着いた映像を支えている機材が、2026年に入って大きく入れ替わりました。
もっとも大きな変化は、メインボディがα7 V(ILCE-7M5)になったことです。2025年12月発売の最新機で、旅の撮影において決定的な意味を持つ機能が載っています。さらにレンズも1本増え、バッグやバッテリー周りまで構成が更新されました。
この記事では、まいばるさんが公開している最新の機材リストをもとに、2026年現在の構成を整理します。単に製品を並べるのではなく、「なぜこの組み合わせなのか」「真似するとしたら何を諦めることになるのか」まで踏み込んで解説します。
先に結論|2026年現在の機材構成
| カテゴリ | 機材 |
| ボディ | SONY α7 V(ILCE-7M5)/ SONY α7C II |
| ズームレンズ | FE PZ 16-35mm F4 G / FE 20-70mm F4 G |
| 単焦点レンズ | FE 50mm F1.4 GM / FE 40mm F2.5 G |
| フィルター | NiSi 可変ND TRUE COLOR VARIO 1-5stops(67mm) |
| 記録メディア | SUNEAST SDXC UHS-II V60 512GB |
| 電源 | SONY ACC-ZD1K(BC-ZD1+NP-FZ100) |
| バッグ | Peak Design エブリデイ スリング 6L |
| メンテナンス | K&F CONCEPT クリーニングクロス / ハクバ レンズクリーニングティッシュ |
| データ保存 | SanDisk エクストリーム ポータブルSSD 4TB / I-O DATA ポータブルHDD 2TB |
ボディ2台、レンズ4本。フルサイズ機材としては、驚くほど絞り込まれた構成です。望遠レンズが1本も入っていない点も含めて、ここには明確な意図があります。順に見ていきます。
カメラボディ|α7 Vの導入で変わった2台体制
SONY α7 V(ILCE-7M5)
2026年の構成で最大のトピックが、このα7 Vです。2025年12月19日発売の、αシリーズ第5世代にあたる最新のスタンダード機です。
搭載されているのは新開発の有効約3,300万画素・35mmフルサイズ部分積層型CMOSセンサー「Exmor RS」と、AIプロセッシングユニットを統合した画像処理エンジン「BIONZ XR2」。静止画では最高約30コマ/秒の高速連写、最大16ストップのダイナミックレンジを実現しています。
ただ、旅動画という文脈で本当に効いてくるのは別の2点です。
- 中央最大7.5段・周辺最大6.5段のボディ内手ブレ補正
- 手ブレ補正「ダイナミックアクティブモード」への対応
旅動画は、その大部分が「歩きながら」「立ち止まらずに」撮られます。ジンバルを常時担いで街を歩くわけにはいかない以上、ボディ内手ブレ補正の強さがそのまま映像の品質に直結するのが旅撮影の宿命です。ダイナミックアクティブモードは、小走り程度の動きでも滑らかさを保てるレベルの補正で、ジンバルを出さずに済む場面を確実に増やしてくれます。
動画性能も、フルサイズ画角での7Kオーバーサンプリングによる4K 60p記録に対応。Super 35mm(APS-C相当)では4K 120pのハイフレームレート撮影が可能です。シネマティックな色調を実現する「S-Cinetone」も搭載しています。
質量は約610g。フルサイズ機としては標準的ですが、後述するレンズ構成と合わせると、旅で持ち歩けるぎりぎりのラインに収まっています。
SONY α7C II
2台目はα7C II。こちらはシルバーを選択している点が特徴的です。
約3,300万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーとBIONZ XRを搭載し、AIプロセッシングユニットによる被写体認識AFに対応。フルサイズ機としては最小クラスのボディに、上位機に迫る機能が詰め込まれています。
まいばるさんがα7C系を使い続けているのには経緯があります。カメラを始めた当初、初心者にもかかわらず初代α7Cをいきなり購入した、と本人が書いています。「形から入るタイプ」という自己評価とともに語られるエピソードですが、そこからα7C IIへ買い替え、現在もバッグに入れ続けている。5年以上にわたってα7Cというラインを信頼し続けているという事実のほうが、スペック表よりも雄弁かもしれません。
2台体制における役割としては、「軽さで選ぶ日の一台」という位置づけが自然です。α7 Vを出すほどではない場面、荷物を削りたい移動日、サブカメラとしての同時運用。同じEマウントなのでレンズを共有できる点も大きな利点です。
α7S IIIはどうなった?
過去にまいばるさんは、α7S IIIについて「当チャンネルの映像美を支えている命綱」と表現していました。約1,210万画素という割り切った画素数と引き換えに、圧倒的な高感度性能と4K 120pを手に入れた、動画特化のフルサイズ機です。夜の屋台、薄暗い路地、室内の食事シーン。旅動画が避けて通れない低照度の場面で、このカメラは絶大な威力を発揮してきました。
ただし、現在公開されている機材リストにα7S IIIは含まれていません。代わりに入っているのがα7 Vです。
リストに載っていないことが即座に「手放した」を意味するわけではないので、断定は避けます。ただ、構成の方向性としては読み取れるものがあります。
- 旧構成:α7S III(低照度・動画特化)+ α7C II(携帯性)
- 新構成:α7 V(高解像・万能)+ α7C II(携帯性)
α7S IIIの1,210万画素は動画には十分でも、写真を切り出すには物足りない画素数でした。α7 Vの3,300万画素なら、写真としての作品性も動画のクオリティも同時に取れます。加えて7.5段の手ブレ補正とダイナミックアクティブモードという、α7S IIIにはなかった武器が加わる。
「暗所に全振りした一台」から「全部できる一台」への移行。これが2026年の機材構成から読み取れる変化です。
なお、以前ご紹介したドローンのDJI Mini 3 Proについても、今回のカメラバッグのリストには記載がありません。ただしこちらは「バッグの中身」というリストの性質上、ドローンが含まれないこと自体は自然です。
レンズ|ズーム2本・単焦点2本という布陣
レンズは4本。すべてソニー純正で、Gレンズ3本とGマスター1本という構成です。
FE PZ 16-35mm F4 G(SELP1635G)|動画用の広角ズーム
電動ズーム(パワーズーム)を搭載した広角ズームレンズです。質量は約353gで、超広角16mmからをカバーするF4通しのレンズとしては世界最軽量クラス。フィルター径は72mmです。
このレンズが動画向きである理由は、電動ズームだけではありません。ズーム時もフォーカス時もレンズの全長が変わらないインナーズーム・インナーフォーカス方式を採用している点が決定的です。全長が変化しないということは、ジンバルに載せたときのバランスが崩れないということ。レンズを動かすたびにジンバルを調整し直す必要がありません。
クリックのON/OFFを切り替えられる絞りリングも搭載しており、動画撮影中に絞りを変えてもカチカチという音が入りません。細部まで動画撮影を前提に設計されたレンズです。
FE 20-70mm F4 G(SEL2070G)|旅の万能ズーム
広角20mmから中望遠70mmまでをF4通しでカバーする標準ズーム。質量は約488g、フィルター径は72mmです。
一般的な標準ズームが24mmスタートであるのに対し、このレンズは20mmスタート。この4mmの差は数字で見る以上に大きく、狭い路地や室内、建物を見上げる構図で明確に効いてきます。旅先では「もう一歩下がれない」場面が頻繁に訪れるため、広角端の余裕は実用上の価値が高い要素です。
さらに最大撮影倍率0.39倍という高い近接撮影性能を備えており、料理や小物のクローズアップにも対応できます。旅動画で必ず登場する食事シーンを、レンズ交換なしで撮り切れるということです。
FE 50mm F1.4 GM(SEL50F14GM)|ボケを作る一本
Gマスターシリーズの大口径標準単焦点。F1.4の明るさを持ちながら質量約516gに収めた、小型軽量設計のGMレンズです。フィルター径は67mm。
ズーム2本がF4通しであることを考えると、この1本だけが「明るさ」を担当している構成です。F4とF1.4では露出にして4段分の差があり、夜のシーンや室内での撮影、そして大きくボケた印象的なカットは、このレンズでしか作れません。
インターナルフォーカシングの採用で前玉が回転しないため、可変NDフィルターや円偏光フィルターとの相性も良好です。
FE 40mm F2.5 G(SEL40F25G)|今回追加された軽量単焦点
今回の更新で新しく加わったレンズです。そして、この1本が構成全体の意味を変えています。
質量はわずか約173g。最大径68mm×長さ45mmという小ささで、フィルター径は49mmです。それでいてGレンズの称号を与えられており、絞りリング、フォーカスホールドボタン、AF/MF切り替えスイッチ、クリック切り替えまで搭載。外装にはアルミを採用しています。防塵・防滴にも配慮した設計です。
注目すべきは、同じ標準域をカバーする50mm F1.4 GMとの関係です。
| FE 50mm F1.4 GM | FE 40mm F2.5 G | |
| 質量 | 約516g | 約173g |
| 開放F値 | F1.4 | F2.5 |
| フィルター径 | 67mm | 49mm |
| 長さ | 96mm | 45mm |
その差、343g。50mm F1.4 GMの3分の1しかありません。
この2本は「どちらが優れているか」ではなく、「今日はどちらを諦めるか」を選ぶための2本です。ボケと明るさが必要な日は50mm F1.4 GM。荷物を軽くしたい日、長時間歩き続ける日は40mm F2.5 G。旅の撮影で最後に効いてくるのは、機材の性能ではなく「持ち出す気力が残っているか」だったりします。343gの差は、その分かれ目になる重さです。
レンズ4本の比較表
| レンズ | 質量 | フィルター径 | 役割 |
| FE PZ 16-35mm F4 G | 約353g | 72mm | 動画・広角 |
| FE 20-70mm F4 G | 約488g | 72mm | 万能・近接 |
| FE 50mm F1.4 GM | 約516g | 67mm | 明るさ・ボケ |
| FE 40mm F2.5 G | 約173g | 49mm | 軽量・スナップ |
4本合計で約1,530g。フルサイズ用レンズ4本としては、かなり軽量にまとまっています。
アクセサリー|旅で効く小物たち
NiSi 可変NDフィルター TRUE COLOR VARIO 1-5stops(67mm)
ND2からND32まで無段階で調整できる可変NDフィルターです。動画撮影では、シャッタースピードをフレームレートの2倍程度に固定するのが基本(4K 30pなら1/60秒前後)ですが、日中の屋外ではこの設定だと露出がオーバーしてしまいます。NDフィルターは、その露出を光学的に落とすための必須装備です。
TRUE COLORの名のとおり、可変NDにありがちな色被りを抑えている点が評価されている製品です。
ここで1つ注意点があります。リストに掲載されているのは67mm径のモデルです。上の表のとおり、ズーム2本(16-35mm、20-70mm)はいずれもフィルター径72mm。つまりこのNDフィルターはズームレンズにはそのまま装着できません。67mmと一致するのは50mm F1.4 GMです。
同じ構成を真似しようとする場合、ここは要注意ポイントです。ズームでもNDを使いたいなら、72mm径のフィルターを別途用意するか、ステップアップリングを噛ませる必要があります。可変NDは安くない買い物なので、購入前に手持ちレンズのフィルター径を必ず確認してください。
SUNEAST SDXCカード UHS-II V60 512GB
UHS-II、V60規格の512GB SDカード。V60は最低書き込み速度60MB/秒を保証する規格で、4K動画の連続記録に対応できるラインです。
旅の撮影では、その日のうちにデータを吸い出せる保証がありません。移動が続けばPCを開く時間すら取れない。容量に余裕を持たせておくことが、そのまま撮り逃しの防止になります。512GBという容量選択は、そうした現場の事情を反映したものでしょう。
SONY ACC-ZD1K(バッテリーチャージャー+NP-FZ100)
今回新たにリストに加わったアイテムです。チャージャーBC-ZD1と、Zバッテリー NP-FZ100がセットになったアクセサリーキット。
地味な存在ですが、旅撮影ではこれが生命線になります。α7 Vもα7C IIも電源はNP-FZ100。つまり2台のボディでバッテリーを完全に共通化できているということです。予備バッテリーを機種ごとに分けて持つ必要がなく、充電器も1つで済みます。
同一メーカー・同一マウントで揃えることの利点は、レンズの使い回しばかりが語られがちですが、電源とメディアの統一こそが遠征では効いてきます。ホテルの限られたコンセントを、充電器1台で回せるかどうかは大きな差です。
Peak Design エブリデイ スリング 6L
こちらも新規追加のアイテムです。カメラバッグの定番ブランド、Peak Designのスリングバッグ。
6Lというサイズ選択が示唆的です。大型のバックパックではなく、体の前に回して即座にカメラを取り出せるスリング。旅動画では「今この瞬間」を逃さないことが最優先で、バッグを下ろしてファスナーを開けている間にシーンは終わります。
ボディ1台+レンズ数本という、まいばるさんの絞り込まれた構成だからこそ成立するサイズでもあります。機材を厳選することとバッグを小さくすることは、セットで考えるべき問題だということがよく分かります。
クリーニング用品|K&F CONCEPT クロス/ハクバ ティッシュ
個装タイプのマイクロファイバークロスと、速乾ウェットタイプのレンズクリーニングティッシュ。2種類を併用しています。
この使い分けには合理性があります。乾いた汚れや水滴はクロスで、指紋や油分はウェットティッシュで。逆をやると汚れを広げるだけで終わります。海辺の潮風、屋台の油煙、雨。旅先のレンズは想像以上に汚れるので、両方持つのは理にかなった選択です。
撮影後のデータ管理
機材リストには、デスク周りのストレージも公開されています。撮ることと同じくらい、撮ったデータをどう守るかは重要な問題です。
SanDisk エクストリーム ポータブルSSD 4TB
USB 3.2 Gen2接続で読み出し最大1,050MB/秒、防滴防塵対応のポータブルSSDです。容量は4TB。
4K素材の編集では、読み込み速度がそのまま作業時間に跳ね返ります。タイムラインをスクラブするたびに待たされるか、滑らかに動くか。編集を担当しているまいばるさんにとって、ここへの投資は労働時間の投資と同義です。防滴防塵仕様である点も、持ち出しを前提にしていることを示しています。
I-O DATA ポータブルHDD 2TB
USB 3.2 Gen1接続の2TB外付けHDD、日本製モデルです。
SSDとHDDを両方持っている点に意味があります。速度が必要な作業用にSSD、容量単価が安く長期保管に向くHDDにアーカイブ。この使い分けは、素材が際限なく増えていく映像制作では定石です。SSDだけで全素材を抱えようとすると、コストが現実的でなくなります。
この構成から読み取れる「割り切り」
機材リストは、何を持っているかと同じくらい何を持っていないかが雄弁です。
望遠レンズがない
4本のレンズの最長焦点距離は70mm。望遠域が完全に切り捨てられています。
旅の撮影では、望遠が欲しくなる場面は確実にあります。遠くの山、野生動物、祭りの演者。それでも持たないのは、70-200mmクラスが軽いものでも800g前後あり、旅の総重量に与える打撃が大きすぎるからでしょう。「たまに欲しくなるもの」より「毎日必ず使うもの」を優先するという判断です。
ズーム2本の画角が重なっている
16-35mmと20-70mmは、20-35mmの範囲が重複しています。効率だけを考えれば無駄に見える構成です。
しかし2本の性格はまったく違います。16-35mmはインナーズーム・電動ズームで、ジンバル運用と動画に最適化された設計。20-70mmは近接0.39倍まで寄れる静止画・万能型。重複を承知で両方持つのは、画角ではなく用途で分けているからです。
明るいレンズは1本だけ
F1.4クラスは50mm F1.4 GMのみ。広角側に明るい単焦点(24mm F1.4など)は入っていません。
これはボディ性能でカバーする判断だと考えられます。α7 Vの7.5段手ブレ補正があれば、暗所でもシャッタースピードを稼ぐ必要性が下がる。レンズの明るさで解決していた問題を、ボディの進化で置き換えた構成と読めます。
同じ機材を検討している方へ
この構成をそのまま真似する必要はありませんが、ボディ選びの参考にはなるはずです。
α7 Vと組み合わせるレンズ選びについては、こちらの記事で10本を比較しています。
▶ Sony α7Vにおすすめの神レンズ10選|失敗しない選び方とスペック徹底比較
α7C IIをお使いの方、これから検討する方はこちらをどうぞ。
▶ Sony α7C IIのおすすめ神レンズ10選!旅行・スナップに最適な軽量・高画質レンズを徹底解説
また、まいばるさんとYuuさんがどういう経緯でこのチャンネルを続けてきたのかについては、別記事でまとめています。
まとめ
2026年のMaibaru Travelの機材構成を整理すると、方向性がはっきり見えてきます。
- α7 Vの導入により、暗所特化から高解像・万能型へ軸足が移った
- 7.5段の手ブレ補正とダイナミックアクティブモードで、ジンバルなしの手持ち撮影の質を底上げ
- FE 40mm F2.5 Gの追加で、「軽さを取る日」の選択肢を確保
- 望遠を切り捨て、毎日使う画角に資源を集中
- バッテリーとマウントの統一で、遠征時の運用負荷を削減
高価な機材を並べているように見えて、実際には徹底的に絞り込まれた構成です。4本のレンズ合計で約1,530g、バッグは6Lのスリング。100万人が見る映像は、機材の物量ではなく「何を諦めるか」の判断の積み重ねで作られている、ということなのだと思います。
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