キヤノンから「EOS R8 Mark II」が発表されました(2026年10月29日発売予定)。20万円台のフルサイズ機として、ソニー「α7C II」、ニコン「Z5 II」と並んで候補に入れている人も多いはずです。
この3機種は、画素数も手ブレ補正もカタログ上はよく似ています。ただ、公式仕様を並べてみると「どこで割り切っているか」がはっきり違います。この記事では、初めてフルサイズを買う人に向けて、その違いを用途別に整理しました。
結論:用途で選ぶならこうなる
- 動画を画角そのままの4K 60pで撮りたい、子どもやペットを連写で撮りたいならEOS R8 Mark II
- とにかく小さく軽く持ち歩きたい、電池持ちとレンズの選択肢を重視したいならα7C II
- 写真をじっくり撮りたい、ファインダーの見やすさや記録の安心感を重視したいならZ5 II
以下で、この結論に至った根拠を順番に説明します。
3機種の主要スペック比較
| 項目 | EOS R8 Mark II | α7C II | Z5 II |
|---|---|---|---|
| 有効画素数 | 約2420万 | 約3300万 | 2450万 |
| ボディ内手ブレ補正 | 中央最大7.5段 | 7.0段 | 中央7.5段 |
| 4K 60p | クロップなし | Super 35mm相当にクロップ | 約1.5倍クロップ |
| 最高連写 | 約40コマ/秒(電子) | 約10コマ/秒 | 約30コマ/秒(C30・JPEG) |
| メカシャッター | なし(電子先幕/電子) | あり | あり |
| EVF | 0.39型 約236万ドット | 0.39型 約236万ドット | 0.5型 約369万ドット |
| 背面モニター | 3.0型 約162万ドット バリアングル | 3.0型 約104万ドット バリアングル | 3.2型 約210万ドット バリアングル |
| カードスロット | SD×1 | SD×1 | SD×2 |
| 撮影可能枚数(EVF) | 約220枚 | 約530枚 | 約330〜380枚 |
| 質量(電池・カード込み) | 約546g | 約514g | 約700g |
| サイズ(幅×高さ×奥行) | 約131.4×90.0×79.7mm | 約124.0×71.1×63.4mm | 約134×100.5×72mm |
違い①動画:4K 60pで画角が変わるかどうか
3機種の差がいちばん大きく出るのが、4K 60pの動画です。
α7C IIとZ5 IIは、4K 60pに切り替えると撮影範囲がセンサーの中央だけに狭まります(クロップ)。レンズの画角が約1.5倍望遠側に寄るイメージです。たとえば24mmで部屋全体を撮っていたのに、60pにした瞬間36mm相当になり、引きが足りなくなります。フル画角で撮れるのは30p以下です。
一方のEOS R8 Mark IIは、4K 60pでもクロップなしで記録できます。6Kからのオーバーサンプリングなので、画質面でも妥協がありません。Vlogで自撮りをする人、室内で広く撮りたい人、動きのある映像を60pでなめらかに残したい人にとっては、R8 IIがはっきり有利です。
ただしR8 IIの4K 60pは、公式値で連続約33〜35分(23℃)で熱による停止があります。4K 30pなら熱による制限はありません。発表会や式典を60pで長回しする用途では注意が必要です。
違い②連写とシャッター:40コマ/秒の裏にある割り切り
EOS R8 Mark IIは電子シャッターで最高約40コマ/秒、シャッター全押しの前から記録できるプリ連続撮影にも対応します。子どもの一瞬の表情やペットの動きを「押し遅れ」なく拾えるのは大きな魅力です。
その代わり、R8 IIには完全なメカシャッターのモードがありません。選べるのは電子先幕と電子シャッターの2つだけで、電子先幕だと連写は約6コマ/秒に下がります。電子シャッターは、蛍光灯やLED照明の下で縞模様が出たり、速く動く被写体が歪んだりすることがあります。
α7C II(約10コマ/秒)とZ5 II(JPEGで最高約14コマ/秒、C30で約30コマ/秒)はメカシャッターを備えています。撮影環境を選ばず安定して撮れるのはこちらの2機種です。
違い③手ブレ補正:3機種とも強力なので差は小さい
初代EOS R8にはボディ内手ブレ補正がありませんでしたが、R8 IIでついに搭載されました。これで3機種ともボディ内手ブレ補正付きになり、手ブレ補正のない単焦点レンズでも安心して使えます。
段数はR8 IIが中央最大7.5段、α7C IIが7.0段、Z5 IIが中央7.5段です。ただしR8 IIはレンズ側の手ブレ補正との協調制御時、α7C IIはFE 50mm F1.2 GM装着時の値など、測定条件がそろっていません。0.5段の数字差で選ぶより、「3機種とも夜の街や室内を手持ちで撮れる水準」と考えるのが実用的です。
違い④持ち歩き:軽さと電池持ちはα7C IIが優秀
質量はα7C IIが約514g、R8 IIが約546g、Z5 IIが約700gです。数字以上に効くのがサイズで、α7C IIは高さ約71mm・奥行き約63mmと、R8 II(高さ約90mm)より一回り薄く小さくなっています。バッグに入れっぱなしにする使い方なら、α7C IIが最も気軽です。
電池持ちも差があります。ファインダー撮影時の目安で、α7C IIは約530枚、Z5 IIは約330〜380枚、R8 IIは約220枚です。R8 IIで旅行や1日がかりのイベントを撮るなら、予備バッテリーは必須と考えてください。USB給電には3機種とも対応しています。
違い⑤見やすさと安心感:Z5 IIが一歩リード
ファインダーは、R8 IIとα7C IIがどちらも0.39型・約236万ドット・倍率約0.70倍と同等です。Z5 IIは0.5型・約369万ドット・倍率約0.8倍と大きく高精細で、ファインダーをのぞいてじっくり構図を決めたい人には違いが分かるポイントです。
また、SDカードスロットが2つあるのはZ5 IIだけです。2枚に同時記録しておけば、万一カードが壊れても写真が残ります。結婚式や仕事の撮影など、撮り直しがきかない場面を想定するならZ5 IIが安心です。その代わり、重さ約700gは3機種で最も重くなります。
画素数とレンズの選択肢
画素数はα7C IIが約3300万画素で、R8 IIとZ5 IIの約2400万画素より多くなっています。撮った後にトリミングして被写体を大きく切り出す余裕があるのはα7C IIです。一方で、2400万画素でもA3程度のプリントやSNS用途には十分なので、初めての1台なら決定打にはなりません。
長く使うなら、ボディよりレンズ選びが重要になります。ソニーのEマウントは純正に加え、シグマやタムロンなど多くのメーカーがレンズを出しており、選択肢の広さでは3マウントの中で有利です。
各機種の割り切りポイント
どの機種にも、価格とサイズを抑えるために削った部分があります。買ってから後悔しないよう、ここは必ず確認してください。
EOS R8 Mark IIで割り切ること
- 電池持ちが約220枚と短く、予備バッテリーの追加がほぼ前提になる
- メカシャッターがなく、照明の下や速い被写体では電子シャッターの弱点が出ることがある
- カードスロットが1つで、同時バックアップ記録はできない
α7C IIで割り切ること
- 4K 60pはSuper 35mm相当にクロップされ、広角側が狭くなる
- 連写は約10コマ/秒で、3機種の中では最も控えめ
- 背面モニターが約104万ドットと、3機種で最も解像度が低い
Z5 IIで割り切ること
- 約700gと3機種で最も重く、気軽に持ち出すにはやや大きい
- 4K 60pは約1.5倍クロップされる
- 画素数は約2450万画素で、トリミング耐性はα7C IIに劣る
迷ったときは3つの質問で絞り込む
スペック表を見ても決めきれない場合は、次の3つの質問に順番に答えてみてください。
質問1:4K 60pの動画を、広角のまま撮る予定はありますか?
「はい」ならEOS R8 Mark IIが最有力です。他の2機種では画角が狭くなり、広角レンズを追加で買う必要が出てきます。動画は30pで十分、またはほとんど撮らないなら次へ進みます。
質問2:カメラを毎日バッグに入れて持ち歩きますか?
「はい」ならα7C IIです。Z5 IIとの差は約190gで、1日持ち歩くと体感ではっきり分かります。電池持ちも長いので、予備バッテリーなしで出かけやすいのも利点です。
質問3:失敗できない撮影を任される可能性はありますか?
友人の結婚式や子どもの行事の記録係など、撮り直しがきかない場面があるならZ5 IIです。デュアルスロットによるバックアップ記録とメカシャッターが、いざというときの保険になります。
こんな人におすすめ
EOS R8 Mark II:動画も動きものも1台で撮りたい人
4K 60pを画角そのままで撮れるのは3機種でR8 IIだけです。40コマ/秒の連写とプリ連続撮影もあり、家族の日常をVlogでも写真でも残したい人に向いています。
α7C II:軽さと万能さを取りたい人
3機種で最も小さく軽く、電池持ちも最長です。約3300万画素とレンズの選択肢の広さも含め、旅行や街歩きで毎日持ち出すカメラとして完成度が高い1台です。
Z5 II:写真をしっかり撮りたい人
大きく明るいファインダー、メカシャッター、デュアルスロットと、写真を撮る道具としての安心感が最も高い機種です。重さを許容できるなら、長く付き合える1台になります。
まとめ
EOS R8 Mark IIは、4K 60pのクロップなし記録と40コマ/秒連写で「動画と動きもの」に強い新しい選択肢になりました。ただし電池持ちとメカシャッター非搭載は明確な割り切りです。
持ち歩きやすさと総合力ならα7C II、写真を撮る道具としての信頼性ならZ5 II。自分がいちばん撮りたいものが「動画」「日常の持ち歩き」「じっくり写真」のどれかを決めると、選ぶべき1台が見えてきます。
※価格は販売店や時期によって大きく変動するため、本文では記載していません。購入前に最新の価格を確認してください。
クリエイターの道具
