鉄道写真の枠を超え、多くの人々に感動を与える「ゆる鉄」というジャンルを確立した中井精也さん。
彼の作品から漂う、どこか懐かしく、そして温かい空気感。それは単に「電車を撮る」のではなく、その場の空気や光、そして人々の生活を優しく見つめる彼の視点があるからこそ生まれるものです。しかし、その「ゆるい」表現を支えているのは、実は最先端のテクノロジーを凝縮した、極めてストイックな機材たちだということをご存知でしょうか。
今回は、中井精也さんがその「一瞬の奇跡」を捉えるために信頼を寄せている愛用機材を、徹底的に調査してまとめました。クリエイターとしてのこだわりが詰まった道具の数々をご紹介します。
中井精也(Seiya Nakai)とは?
1967年、東京都生まれ。鉄道の車両そのものよりも、鉄道を取り巻く風景や人々の情操を写し出す独自のスタイル「ゆる鉄」で知られる、日本を代表する鉄道写真家です。
自身のブログ「1日1鉄!」では20年以上毎日欠かさず写真を更新し続けており、その情熱と圧倒的な手数、そして親しみやすい人柄で、鉄道ファンのみならず幅広い層から絶大な支持を得ています。ソニーのミラーレス一眼「α」を黎明期から愛用し、そのポテンシャルを最大限に引き出すクリエイターとしても有名です。
中井精也さんが使用している機材
中井精也さんの機材構成は、鉄道という「動体」かつ「一期一会」の被写体を確実に、そして美しく残すための究極のセットアップとなっています。
カメラ:Sony α1
中井精也さんの現在のメイン機であり、「最強の相棒」と称されるのがこのα1です。5010万画素という高解像度でありながら、最高30コマ/秒という驚異的な連写性能を両立。まさに鉄道写真において「撮れないものはない」と言わしめるフラッグシップ機です。
カメラ:Sony α9 III
2024年に導入された、世界初(※フルサイズミラーレスにおいて)のグローバルシャッター方式を採用したモデルです。どんなに高速で走る新幹線でも歪みなく、かつ一瞬の光の表情を逃さず捉えるために、特にスピードが要求される現場で多用されています。
レンズ:FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
鉄道写真の「大三元」レンズの中でも、最も使用頻度が高い一本。中井さんはこのII型になってからの驚異的な軽量化とAFスピードを高く評価しており、手持ちでの流し撮りなど、機動力が必要なシーンでの信頼が厚いレンズです。
レンズ:FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
迫力ある編成写真や、遠くの景色を圧縮して見せる際に欠かせない超望遠ズーム。中井さんはこのレンズの「インナーズーム(ズーム時にレンズが伸びない)」構造を、三脚使用時のバランスが変わらない点として絶賛しています。
三脚:Leofoto LS-365C(FC) & 雲台:MH-50R
近年の中井精也さんの足回りを支えているのがLeofotoです。特にカーボン三脚のLS-365Cは、過酷な鉄道撮影の現場にも耐えうる堅牢性と、移動の多さを苦にしない軽量さを兼ね備えています。
カメラバッグ:Railroad Adventure(中井精也監修)
中井さんが「本当に自分が使いたいバッグ」を追求し、自らプロデュースしたショルダーバッグです。70-200mmをボディに装着したまま縦に収納できるなど、鉄道写真家ならではのこだわりが凝縮されています。
フィルター:NiSi 角型フィルターシステム
明暗差の激しい鉄道風景(空と地面のバランスなど)を美しく表現するために、NiSiのGND(ハーフND)フィルターを愛用されています。「ゆる鉄」の柔らかな色彩をデジタル処理ではなく、現場の光をコントロールして作るための必須アイテムです。
まとめ
中井精也さんの機材選びの根底にあるのは、「一瞬のチャンスを技術的な制約で逃したくない」という、プロフェッショナルとしての強い責任感です。
ソニーの最新テクノロジーを駆使した「α1」や「α9 III」といったボディ、そして自身の理想を形にした「Railroad Adventure」のようなバッグ。これらはすべて、あの優しく、どこか切ない鉄道風景を、私たちに届けるための「魔法の杖」と言えるでしょう。
「ゆるい」写真の裏側にある「ガチ」な機材たち。それらを知ることで、中井さんの作品をより深く楽しめるようになるはずです。
クリエイターの道具 







